のぞみの記事

クエン酸+重曹は無意味?排水溝泡洗浄の謎を徹底解明

nishiyama
のぞみ

こんにちは、のぞみです。

InstagramやTwitterなどのSNSではよく、排水溝のヌルツキをとるというお掃除法としてクエン酸と重曹を混ぜて泡をだす方法をみかけますよね。

ですがあのお掃除法って、本当に意味があるのでしょうか?

今回は茂木和哉さんと一緒に、話題のお掃除法について考えていけたらと思います!

ちなみに参‌考‌に‌し‌た‌の‌は、‌こ‌ち‌ら‌の‌茂‌木‌和‌哉‌(‌‌@motegikazuya‌‌)‌さ‌ん‌の‌YouTube‌動‌画‌で‌す。‌

クエン酸+重曹で排水溝掃除の汚れは落ちない?

のぞみ

それでは茂木さん、今回もよろしくお願いします。本題から入りますが、よく見かける重曹とクエン酸を混ぜると汚れが落ちる、というのは本当なのでしょうか?

わたしは重曹とクエン酸を混ぜても、ほとんどあまり効果がないと思っています。

排水溝の汚れのなかで一番多いのは、ぬるぬるしたヌルツキ汚れですよね。それ以外には黒ずみ汚れ、黒カビ汚れがありますね。この3つは全部「生き物汚れ」に当てはまります。

また、キッチンの排水溝なんかだと、生き物汚れのほかにも「油汚れ」がありますね。

他にも排水溝には「石けんカス汚れ」「水垢」といった汚れもあります。

このなかで一番多い「生き物汚れ」にフォーカスしてみましょう。

生き物汚れを落とすのには、除菌効果がある漂白剤が効果的です。漂白剤にも種類がありますが、なかでもカビキラーやハイターで使われているような塩素系漂白剤が効果的です。

つぎに「油汚れ」にフォーカスしてみます。

油汚れを落とす方法はいくつかありますが、効果的なのは①界面活性剤②アルカリです。

①の界面活性剤は、食器洗い用洗剤やお掃除用洗剤のほとんどに含まれていますね。

②のアルカリは、アルカリ電解水もありますし、「マジックリン」のようにわざわざアルカリ度を高めている洗剤もあります。

のぞみ

生き物汚れは塩素系漂白剤、油汚れは界面活性剤やアルカリが効果的なんですね。

そうです。重曹はアルカリ性ですので、油汚れにはいくらか効果があります。

ですが重曹だけではアルカリ度数はそこまで高くありません。

なので排水溝にこびりついているようなガンコな油汚れを落とすことは期待できないでしょう。

そしてクエン酸は酸性です。

酸はアルカリ性の汚れである、金属石けんカスや水垢は落とすことができますが、生き物汚れや油汚れにはほとんど効果がありません。

のぞみ

なんと……!便利だからといってどんな汚れも落とせるわけではないんですね。

さらにクエン酸と重曹を混ぜてしまうと、汚れを落とす効果はほとんど効果なくなってしまいます。

クエン酸は酸性、重曹はアルカリ性ですよね。酸性とアルカリ性は、混ぜると中和されてしまいます。

もともと重曹には、少しとはいえ油汚れを落とすアルカリのぱわーがありますが、中和されてしまうことで洗浄力はほとんどなくなってしまいます。

のぞみ

よくよく考えるとそうですよね……!ではどうして、クエン酸と重曹を混ぜるお掃除法ができたのでしょうか……?

クエン酸と重曹を混ぜるお掃除法は、混ぜたときに出てくる泡(炭酸ガス)に注目しているのかな、と思います。

とはいっても、泡による洗浄力もちょっと疑いたいところです……。

というのも、一時期「炭酸水でお掃除すると水道水でお掃除するよりも汚れが落ちる」と言われていたことがありました。

気になって炭酸水で汚れが落ちるのか、水道水と比べる実験をしてみたんです。

ですが汚れの落ち具合はまったく同じだったんですよね。

炭酸の泡は汚れ落ちには直接的には影響しません。ですから、クエン酸と重曹をまぜた泡洗浄もあまり効果がない、というのがわたしの見解です。

のぞみ

液性も中性ですし、泡による洗浄力もないとなると……やっぱり話題のお掃除法はほとんど効果がないんですかね。

そうですね。ただここで「全く効果がない!」といってもつまらないですよね。

せっかくですから、クエン酸+重曹の泡洗浄の効果をもっと上げる方法を考えてみました。

実際に排水溝のお掃除をしながら、もっと詳しく解説をしていきましょう!

クエン酸+重曹で排水溝掃除をやってみた

わたしの考えたクエン酸+重曹での排水溝泡洗浄をする前に、よくSNSで見かけるお掃除法を先にやってみましょうか。

さきほど、クエン酸と重曹をまぜると中性になるとお話しましたね。掃除の途中で実際にpH試験紙で液性を測ってみたいと思います。

まずはクエン酸40倍希釈液を作ります。

クエン酸を20グラム、合計800グラムになるまで水道水(お湯)を入れます。

クエン酸にお湯を入れ、棒で軽くかき混ぜ、クエン酸が溶けたら完成です。

1回のお掃除で800グラムも用意する必要はないかと思いますが、今回は何度か実験で使うので少し多めに作っています。

つぎに排水溝に重曹を振りかけます。

重曹がダマにならないよう、ざるでこしながら入れていきます。

排水溝全体にかかりました。

つぎに先ほど作ったクエン酸水をそーっとかけていきます。

シュワシュワと音を立てながら泡が出てきましたね。

のぞみ

泡は出てきていますが、すぐ消えていく程度の泡ですね。

ここで泡のpHを測ってみます。

pHは7くらいでした、やはりクエン酸と重曹で中和されて、中性になっていますね。

まったく汚れ落ちに効果がない、ということではありませんが、わざわざ重曹とクエン酸を混ぜて使う必要はないかな、と思います。

これだったら、重曹を熱湯に溶かして排水溝に流すほうが、油汚れや生き物汚れは落ちていきそうですね。

クエン酸+重曹掃除の効果をアップする方法

次ではクエン酸と重曹を使いますが、もう少し泡のパワーをアップしてみましょう。

あくまで洗浄力をいくらか上げる程度ですので、劇的に洗浄料が高くなる!ということではありません。

泡洗浄をやってみたい方向けのお掃除法です。

先ほど使ったクエン酸水に、中性か弱酸性の食器用洗剤をいれて軽くかき混ぜます。

食器用洗剤には界面活性剤が入っています。

先ほど、油汚れを落とすものは①界面活性剤②アルカリとお話しましたね。

界面活性剤のチカラを借りて油汚れを落としてくれることを期待します。

さらに界面活性剤をいれることで、もっと泡立ちやすくなります。

モコモコとした泡になることで、洗剤と汚れの接触時間が長くなり、汚れが流れていく、ということです。

ちなみに、クエン酸を作るときはお水よりもお湯で、できるだけ熱めのお湯を使いましょう。

油汚れを落とすもののなかには「熱」もあります。

熱は油汚れを溶かしたり、生き物汚れに効果があるんです。

のぞみ

食器も水で洗うよりもお湯で洗ったほうがカンタンにキレイになりますしね。

少しでも汚れの落ち具合を高くしたければ、お湯を使ってみましょう。

ただし熱すぎてやけどをしない程度にしておいてくださいね。

クエン酸水に食器用洗剤を混ぜたら、先ほどと同じように、排水溝に重曹をざるでこして振りかけます。

つぎに食器用洗剤入りのクエン酸水をかけていきます。

すると……早速泡が出てきました。

のぞみ

1回目の泡よりもかなりしっかりとした泡が出てきましたね!先ほどの泡はシュワシュワとすぐ消えていましたが、今回はモコモコしています。

言っているそばから、泡がどんどん盛り上がってきていますね。

このくらいの泡があれば、排水管のなかに泡が密着して、界面活性剤が長く汚れに触れてくれます。

そうすると、いくらかは油汚れには働きかけてくれるはずです。

この状態のまま、泡が落ち着くまで放置して、落ち着いたら水道水で勢いよく流します。

柔らかくなった排水管の汚れが流水の勢いで流れていきます。

と、クエン酸+重曹を使ったお掃除法をパワーアップさせてみました。

ただしこのお掃除法もまだちょっと物足りないんですよね。

界面活性剤の働きだけでは、汚れはちゃんと落ちません。

食器洗いも洗濯機も、界面活性剤の入った洗剤を使いますが、どれもプラスアルファで物理的な働きがありますよね。

本当であればゴシゴシと排水管の中をこすりたいところですが、手の届かないところですので、勢いよく水をかけることで汚れが流れ落ちていくようにしました……。

のぞみ

うーん……なかなか上手くいきませんね。

「マッハ泡バブルーン」で排水溝の汚れが落ちる理由

のぞみ

排水溝を泡でお掃除するものといえば、クエン酸+重曹でする方法だけでなく、市販の洗浄剤もありますよね。もしかして市販洗浄剤も効果がないのでしょうか……?

いいえ、そうとは言い切れませんよ。成分を少し見てみましょうか。

最近Instagramでよく見かける、アース製薬さんの排水溝用洗剤「マッハ泡バブルーン」を持ってきました。

「マッハ泡バブルーン」の成分をみると「界面活性剤(2.07%、アルキルグルコシド(非イオン系))、溶解剤(エチルアルコール)/除菌剤(イソプロピルメチルフェノール(IPMP))」とあります。

界面活性剤が油汚れに効果的、というのはわかりますね。

そして「マッハ泡バブルーン」には界面活性剤のほかに、溶解剤や除菌剤が入っています。

溶解剤はエチルアルコールですので、ほとんど除菌の効果を果たしているといってもいいでしょう。

つまり「マッハ泡バブルーン」には界面活性剤のほか、2種類の除菌剤がはいっているということですね。

この除菌剤が、ヌルヌルのような生き物汚れを落としているんです。

のぞみ

排水溝には主に油汚れと生き物汚れがあるんでしたね。油汚れは界面活性剤が、生き物汚れには除菌剤がはたらいているんですね。

さらに「マッハ泡バブルーン」で特徴的なのはしっかりとした泡です。

成分は界面活性剤と除菌剤だけと非常にシンプルなのですが、泡の密着力を高めることで汚れ落ちを良くしているんですね。

錠剤タイプの塩素剤はどうして汚れが落ちる?

のぞみ

排水溝のお掃除といえば、錠剤をポンといれるものもありますね。これはどういう仕組みなのでしょうか?

たしかによく見かけますね。これも手元にある洗浄剤の成分をみてみましょう。こちらの洗浄タブレットの成分は「ジククロイソシアヌル酸塩、発泡剤(炭酸塩、有機酸)」とあります。

ジククロイソシアヌル酸塩は塩素剤です。塩素系は生き物汚れに効果的でしたね。

そして発泡剤として炭酸塩と有機酸があります。これは今回でいう重曹とクエン酸のようなものですね。

もしもこの錠剤にジククロイソシアヌル酸塩が入っていなくて発泡剤(炭酸塩、有機酸)だけで出来ていたら、一番最初にお見せしたようなクエン酸と重曹を混ぜただけのお掃除になってしまいます。

ちなみに排水管掃除とは別の話ですが、近くのホームセンターでこんなものを見つけました。花王さんから出ている「ふろ水ワンダー」というものです。

なんと「ふろ水ワンダー」の成分は……「ジククロイソシアヌル酸塩、発泡剤(有機酸、炭酸塩)」なんです。

のぞみ

排水溝掃除の錠剤とほとんど同じなんですね!びっくりです。

ただこのタイプの洗浄剤で、ずっと昔から気になっていることがあるんですよ。

ジククロイソシアヌル酸塩は塩素剤で、有機酸は酸性です。

塩素系の洗浄剤にはたいてい、大きく「まぜるな危険」と書いてありますよね。

今回の錠剤タイプの塩素剤にも「酸性・アルカリ性タイプの商品と一緒に使う(まぜる)と有害な塩素ガスが出て危険」と書かれています。

なのに成分に塩素と有機酸があるって……大丈夫なんでしょうか。

水に溶けた瞬間ガスがでるなんて危険な商品は出せませんから、有害なガスには出てこないんだと思っていますが……。

のぞみ

たしかに!これってどういうことなんでしょう?

わたしもよくわからなくて、洗剤の製造に関わっている知り合い何人かに聞いてみたんです。ですがみんな意見が違っていたんですよね。

聞いた話だと、ジククロイソシアヌル酸塩も有機酸もコーティングをして、水が絶対に混ざらない状態で製造をしているそうです。

でも使うときには、結局水に溶けるんですよね。ますます不思議になります。

塩素系のなかにもいくつか種類があってジククロイソシアヌル酸塩は中性もしくは弱酸性の塩素剤、さらにトリクロロイソシアヌル酸という塩素剤はなんと酸性なんです。

有機系の塩素剤は酸に混ざっても大丈夫なのかな?とも思ったのですが……試すのは怖くて出来ていません。

のぞみ

このあたりについて詳しくわかる方がいらっしゃったら、教えてください!

クエン酸+重曹に塩素剤ジククロイソシアヌル酸塩を足してみる

さて話を戻して、クエン酸+重曹の泡洗浄をパワーアップするお掃除法をもうひとつご紹介します。

最後は、クエン酸+重曹+界面活性剤に、さらに塩素剤ジククロイソシアヌル酸塩をプラスするというやり方です。

原理としては、錠剤タイプの排水溝洗浄剤に近いです。

クエン酸+重曹+界面活性剤による発泡効果、さらにジククロイソシアヌル酸塩による塩素系の漂白効果を使います。

使うのは先ほど作った、食器用洗剤(界面活性剤)入りのクエン酸、重曹、そしてジククロイソシアヌル酸塩が入っている「黒木真白」です。

さきほど「混ぜるな危険」の話をしたばかりですが、今回はあくまで実験です。

ジククロイソシアヌル酸塩と酸が混ざった洗浄剤は市販されているから大丈夫、という自己責任のもとで実験をします。

のぞみ

洗剤を混ぜるのは危険です。みなさんは決して真似をしないでください!

もしも塩素ガスが出てきたらにおいでわかります。

混ぜたときのにおいも、実験で確認したいと思います。

ジククロイソシアヌル酸塩として使うのは塩素系洗浄剤の「黒木真白」です。

成分をみると「ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム60%(塩素系)」となっています。ナトリウム=塩ですので、同じものですね。

それ以外にはなにも混ざっていない純粋なジククロイソシアヌル酸塩です。

では、排水溝に重曹をパラパラとかけていきます。

つぎに「黒木真白」をかけていきます。塩素濃度が60%もあるので、そこまでたくさんかける必要はなさそうです。

「黒木真白」をかけた時点で、ほのかに塩素のニオイがします。

のぞみ

クエン酸水をかけたとき、塩素のにおいがどんな風に変わるのでしょうか……?

クエン酸水を書けると、モコモコと泡が出てきました。

塩素のニオイはほとんどありません。

最初にジククロイソシアヌル酸塩を振りかけたときの方がにおいが強かった気がします。

ここまでモコモコとした泡なら、配管の汚れに対しての接触時間を長く作ることができます。

さらにジククロイソシアヌル酸塩による塩素系の効果もありますので、排水溝の生き物汚れ・油汚れに対して非常に効果的です。

懸念していた塩素ガスも出てきていないようです。

このまま30分ほど放置して、流水で流して終わりです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回はSNSでよく見かけるお掃除法について、茂木和哉さんと一緒に解説をしていきました。

重曹とクエン酸を混ぜるだけのお掃除法は、ほとんど効果が期待でできないようです。

クエン酸水を作るときにお湯で溶かす、クエン酸水に食器用洗剤を入れるといった工夫をしてみると、少しは洗浄効果が高まりそうですね。

繰り返しになりますが、最後に行ったジククロイソシアヌル酸塩を混ぜる実験は、皆さんは絶対にマネしないでくださいね!

それではここまで読んでくださり、ありがとうございました。

またお会いしましょう~♪

ABOUT ME
茂木和哉
茂木和哉
汚れ落とし研究家
1975年秋田県生まれ。20歳で温泉浴場清掃をバイトで経験。21歳で工業薬品や業務用洗剤の販売会社に就職。30歳で洗剤メーカーに転職し、1年後の秋田で独立。 独学で掃除と洗剤作りを学び、秋田からパソコン1つで情報発信を始め、自分の名前をつけた代表作「茂木和哉」を大ヒットさせる。現在ではシリーズ展開させ全国のお店に並ぶまでに。 汚れ落とし人生で得たノウハウを惜しみなく伝えるYouTubeチャンネル「茂木流掃除講座」は、チャンネル登録数30万を超える。
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