のぞみの記事

「洗たくマグちゃん」は効果に根拠なし。その理由を茂木和哉が徹底解説!

のぞみ

こんにちは、のぞみです。

アルカリのはたらきで汚れを落とすお洗濯グッズである「洗たくマグちゃん」について、気になるニュースを見つけてしまいました。

洗剤のかわりに入れるだけで汚れが落ちる!という画期的なアイテムなのですが、どうやら汚れを落とす根拠がないとか……!?

今回は話題の「洗たくマグちゃん」の効果について、茂木和哉さんと一緒にお話をしていこうと思います。

ちなみに今回参‌考‌に‌し‌た‌の‌は、‌こ‌ち‌ら‌の‌茂‌木‌和‌哉‌(‌‌@motegikazuya‌‌)‌さ‌ん‌の‌YouTube‌動‌画‌で‌す。‌

「洗たくマグちゃん」は根拠なし!?話題のニュースとは

のぞみ

茂木さん、よろしくお願いします!今回取り上げる「洗たくマグちゃん」について書かれているのは『「洗たくマグちゃん」根拠なし 消費者庁が再発防止命令』という2021年4月29日に出ているニュースです

よろしくお願いします。まずはニュースの本文を一緒に読んでいきましょう。

『消費者庁は27日、洗濯補助用品「洗たくマグちゃん」を洗濯機に入れると、マグネシウムの効果で洗剤を使わずに洗濯できると表示したのは根拠がなく、景品表示法違反に当たるとして、販売する「宮本製作所」(茨城県)に再発防止などを命じた。対象は布製の袋に粒状のマグネシウムが入っている商品で、他に「ベビーマグちゃん」と「ランドリーマグちゃん」も含まれる。』

『同庁によると、宮本製作所包装や自社ウェブサイト上で、商品を洗濯機に入れると「水道水がアルカリイオン水に変わる」「洗浄力は洗剤と同等」「除菌効果は99%以上」などのほか、部屋干し臭も防ぐとうたっていた。』とニュースには書かれています。

まずこのニュースでは「汚れが落ちない」と問題になっているのではありません。

「水道水がアルカリイオン水に変わる」等の伝え方に問題があるのであって、まったく汚れが落ちないということではないと思います。

違反している文章は「水道水がアルカリイオン水に変わる」「洗浄力は洗剤と同等」「除菌効果は99%以上」、そして「部屋干し臭も防ぐ」というところですね。

この文章に根拠がないことが、指摘されているようです。

アルカリで汚れが落ちる理由って?

のぞみ

「洗たくマグちゃん」はアルカリのはたらきで汚れを落とすグッズとありますが、そもそも、どうして水がアルカリ性になると汚れが落ちるのでしょうか?

ここでいう汚れは、油汚れや皮脂汚れのことですね。

油汚れも皮脂汚れも、「酸性の汚れだから汚れが落ちる」とこれまでは説明してきましたが、もう少し詳しくお話しましょう。

アルカリ性で皮脂汚れや油汚れが落ちる働きは、鹸化(けんか)作用によるものです。

ドロドロの油汚れにアルカリ電解水をかけると、白っぽくなってヌルヌルしますよね。それが鹸化です。

実はこれは石けんをつくるときと同じ働きで、鹸化作用により皮脂・油汚れが分解されて、落ちていくんです。

この鹸化作用をよく感じやすいのが、美人の湯と呼ばれるようなアルカリ温泉ですね。

ヒトの身体は皮脂に覆われています。アルカリ性の温泉に入ると、皮脂がアルカリに反応してヌルヌルとします。

のぞみ

なるほど、温泉に入ったときのヌルヌルは皮脂汚れを落としていたんですね~。

洗濯槽の水がアルカリ性になれば、衣類の皮脂汚れは落ちていきます。

でも洗濯洗剤に比べると、汚れ落ちは悪いと考えたほうがいいでしょう。

その理由について、のちほど詳しく説明をしていきます。

アルカリイオン水とはなんなのか?

のぞみ

「洗たくマグちゃん」には「水道水がアルカリイオン水に変わる」と書かれていますが、そもそもアルカリイオン水ってあまり聞きません……どんなものなのでしょうか?

わたしもアルカリイオン水とはなんなのか?と気になって調べてみたところ、日立さんの公式サイトが出てきました。

そこには『アルカリイオン水とは、アルカリイオン整水器を用いて、カルシウムイオンを含んだ飲用適の水を直流で電気分解し、陰極側より生成されるpH9~10の弱アルカリ性電解水を指します。』と書かれています。

アルカリイオン水はアルカリイオン整水器を用いる必要があるようです。

そうすると、洗濯機に一緒に入れるだけでアルカリイオン水ができる、というのは間違いですね。

のぞみ

アルカリイオン整水器を使っていないのであれば、あくまでアルカリ性に傾いたお水ということですね。

そうですね、「洗たくマグちゃん」を使うことで水がアルカリに傾くのは間違いないと思います。

そしてアルカリに傾くことで汚れを落とすことはできますが、その洗浄力は洗剤と同等とは言えません。

「洗たくマグちゃん」の除菌効果と部屋干し臭への効果は?

のぞみ

それと「洗たくマグちゃん」の「除菌効果は99%以上」という文章も、ウイルスが流行している時期は気になるところですね。

この文章にも、特に根拠はありませんね。

いま説明したようなアルカリの働きだけでは、除菌効果はそれほど高くならないというのはイメージできるかと思います。

ものすごくアルカリ度が高いのなら話は別ですが……そうなるとまた別の問題が出てきます。

そして除菌は「部屋干し臭も防ぐ」にも関係してきますね。

部屋干し臭はニオイを出す菌が原因ですから、除菌効果がないのであればもちろん部屋干し臭も出てきます。

マグネシウムの量とアルカリ度数

アルカリによる汚れの落ち具合は、アルカリ度数(pH)が大きく関わってきます。

つぎにアルカリ度数と汚れ落ちについてお話をしたいと思います。

YouTubeでとても参考になる検証動画を見つけたので、その動画で計測していたpHをもとにお話をします。

動画では、洗濯機に何グラムのマグネシウムの粒を入れたら、どのくらいのpHになるのか?を計測していました。

使っていたのは二層式の洗濯機で、水の量はわかりません。

そして出た検証結果が、このようになります。

マグネシウム100グラムだと、pHが7.39

マグネシウム300グラムだと、pHが8.75

マグネシウム500グラムだと、pHが9.00

マグネシウム700グラムだと、pHが9.21

マグネシウム900グラムだと、pHが9.50 となったようです。

100グラムは「洗たくマグちゃん」の基本的な使用量です。正直なところ、pHが7.3では全然汚れは落ちないと思います。

のぞみ

pHは6から8が中性、あとは数字が大きくなるほどアルカリ度が高くなるんでしたね。7だとほとんど中性ですね……。

セスキ炭酸ソーダがpH9.8くらいですので、マグネシウムを900グラムいれたpH9.5くらいなら汚れ落ちの効果はあるかなと思います。

でも洗濯機に900グラムもマグネシウムを入れるのは、あまり現実的ではありませんね。

重たすぎて洗濯機が壊れてしまうと思います。

洗濯洗剤と「洗たくマグちゃん」を一緒につかうのはNG?

のぞみ

マグネシウム単体だと洗浄力が劣るのであれば、マグネシウムと洗濯洗剤の両方入れる、という方法はどうですか?これなら洗濯洗剤を使う量をが減らせますし!

うーん……正直マグネシウムと洗濯洗剤を両方入れるやり方も微妙ですね。

確かにマグネシウムを入れることで水がアルカリ性になって、汚れが落ちやすくなるような気がするのですが、洗剤がうまく働いてくれなくなってしまいます。

ミネラル分が高い水のことを「硬水」、低い水のことを「軟水」といいますね。

硬水は泡立ちにくく、石鹸や洗濯洗剤の働きを弱らせてしまいます。

特に石けんは、水の硬さの影響を受けやすいですよね。

のぞみ

たしかに!ミネラル豊富な温泉や、硬水の国で石けんを使うと、泡立ちにくいですよね。

洗濯洗剤だと水の硬さの影響を受けにくいよう、成分に「水軟化剤」が入っていたりしますが……それでも少なからず影響を受けてしまいます。

洗剤の働きを弱めてしまうので、石けんや洗剤と、マグネシウムを一緒に使うのはやめたほうがいいですね。

「洗たくマグちゃん」だけだと、落ちた汚れが衣類にまた付いてしまうかも?

アルカリは洗濯洗剤よりも洗浄力は劣るとはいっても、洗濯機がグルグルと回ることで、物理的に汚れが剥がれ落ちることもあります。

つぎは「汚れを落とした後」について考えてみましょう。

洗濯洗剤にはいろんな成分が配合されていますよね。

そのなかの一つに「再付着防止剤」というものがあります。

界面活性剤にも、再付着を防止するはたらきはあるのですが、それとは別にプラスすることが多いです。

のぞみ

再付着を防止というと……一回落とした汚れが衣類に戻らないようにしているのでしょうか?

そうです。再付着防止剤は、一回落ちた皮脂汚れがグルグルと洗濯機で回っているときに、もう一回衣類に戻らないようにしています。

でもアルカリ水には、界面活性剤も再付着防止剤も入っていません。

再付着を防止する効果はないので、せっかく落ちた汚れがまた衣類についてしまう、ということが十分に考えられます。

このことからも、やっぱり「洗たくマグちゃん」の洗い上がりは洗剤には劣るかなと思います。

のぞみ

せっかく落ちた汚れが服についてしまうのは……なんだか悲しいですね。

「洗たくマグちゃん」は洗剤業界を革新する?

……と、ここまで「洗たくマグちゃん」の効果についてお話をしてきましたが、同じくものづくりをしている人間としては、改善をしてまたチャレンジをしてもらいたいと思います。

世の中のいろんなものにイノベーションが起きているのに、洗濯だけは何十年もおなじ「洗濯機に洗濯洗剤をいれる」ということをしています。

今の技術なら、洗濯洗剤を使わなくても汚れが落ちる洗濯機、洗濯洗剤以外の汚れを落とす成分が発明されてもおかしくないですよね。

洗濯洗剤や洗濯グッズは、長いあいだ大手が市場を独占しています。

その中で「洗たくマグちゃん」は新しく参入してきて、600万個近く販売しているそうです。

このチャレンジ精神はわたしも見習いたいところです。

のぞみ

これは妄想ですが……「洗たくマグちゃん」に気付いた大手メーカーさんが動いて、今回のようなニュースになったのかもしれませんね……!

妄想レベルですが、それもありますね。

「洗たくマグちゃん」が売れるとこれまでの洗剤の売り上げは減るわけですし、だから今回のようなニュースになったのかもしれません。

まとめ

茂木さん、ありがとうございました!

今回はニュースで話題になっていた「洗たくマグちゃん」の効果について、茂木さんと一緒に解説をしていきました。

パッケージに書いてあることだけを信じるのではなく、汚れを落とす仕組みまでしっかりと理解しておけば、正しい洗剤選びができそうですね!

それではここまで読んでくださり、ありがとうございました。

またお会いしましょう~♪

汚れ落とし研究家
茂木和哉@motegikazuya
汚れ落とし一筋24年。掃除が得意な洗剤開発者。 自分で作った洗剤を、秋田にいながらパソコン1つで情報発信を始め、現在は全国のお店に並ぶまでに。 自分の名前をつけた代表作「茂木和哉」は、150万本以上販売。 洗剤の製造販売の他に、YouTubeとSNSで掃除術を日々発信中。
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