ブログ

より洗浄力が高くできるだけ安全な洗剤を目指して

茂木 和哉

 

最近のトイレやお風呂は、汚れが付きにくくなりましたよね。

コーティングや表面加工の技術など、メーカーの研究、努力の結果だと思います。

また最近、食器洗浄機、洗濯機など洗浄機器の性能もどんどん良くなってきました。

使う洗剤の量は、昔と比べかなり減ってきてます。

これからさらに技術が進歩しすと、「近い将来洗剤がなくなるのでは?」と本気で思ってしまいます。

洗剤使われている化学物質の中には、合成界面活性剤や蛍光増白剤など、題視されてきたものもたくさんありますしね。

本当にそうなったら、私の仕事がなくなってしまいますね^^;

でも、もしずっと残り続けるとしたなら、それはどんな洗剤なのか?

おそらく今ある業務用洗剤より洗浄力が高いもので、さらに水のように安全で環境に影響を与えないものだと思います。

「業務用洗浄剤より洗浄力が高く水のように安全。」

まさに究極の洗剤ですよね!

まだまだ、その域には到底いけませんが、私は、そこを目指して日々洗剤を開発しています。

現実的なところで、今開発するとしたら、洗浄力はできるだけ高く安全性はできるだけ高いものを考えていくのですが、それでさえも、こだわるとかなり難しいのです。

では、どんなところが難しいのか?

実際に私が、業務用のバスクリーナーを開発した時のことを例にしてお伝えします。

バスタブにつく汚れの代表と言ったら皮脂汚れです。

シンプルに考えて、皮脂汚れに対し、もっとも簡単に洗浄力を上げたいとしたら、洗剤のアルカリ度をできるだけ強くすればできてしまいます。

でも、アルカリ度が高くなればなるほど、反対に安全性は低くなりますし、素材が傷みやすくなります。

だからあまりアルカリ度を高くすることはできません。

では、安全なもので、かつ素材が傷まない洗剤を作るとしたらどうするか?

間違いがないのは、中性タイプにすることです。

なので普通のバスクリーナーのほとんどが中性なわけです。

でも、中性にすると言うことは、主成分が界面活性剤と言うことになります。

界面活性剤の洗浄力には限度がありますので、それでは私が思い描いているよう「より高い洗浄力」にはなりません。

ちなみに界面活性剤は、いくらたっぷり配合したとして洗浄力には限界があります。

その前に、入れ過ぎると、液がドロドロしてスプレーしても泡にならなにので無理ですけどね。

では、どうやって中性域をキープし、さらに洗浄力を高めたらいいのか?

ここが、私がバスクリーナーの開発でぶち当たった壁でした。

その壁をどうやって乗り越えたかというと、界面活性剤とアルカリ剤の事を一旦忘れることにしました。

そして他に、皮脂汚れに対して効果のある洗浄成分に目を向けたのです。

実は、皮脂汚れに効果が高い洗浄成分は、界面活性剤やアルカリ成分だけではありません。

他にもあります。

例えば溶剤や酵素。

酵素は、つけ置かないと効果がでないので、バスクリーナーにはちょっと不向きなのですが、溶剤は最適です。

溶剤には、
アルコール系
エーテル系
グリコール系
グリコールエーテル系
などあります。

あとオレンジオイルのD-リモネンも溶剤ですね。

と言うことで私は、溶剤をバスクリーナーのメインの洗浄成分として考えました。

普通に売られているバスクリーナーにも溶剤が含まれているものがたくさんありますが、あくまでもメインの洗浄成分は界面活性剤です。

そこが私のと違います。

そうすることで、界面活性剤の配合量を劇的に減らすことができました。

それによって、安全性の点や環境負荷の点でさらに良くすることができました。

さらに泡切れが良くなり時短節水につながりました。

それが、花鳥風月なのです!

 

ABOUT ME
茂木和哉
茂木和哉
汚れ落とし研究家
1975年秋田県生まれ。20歳で温泉浴場清掃をバイトで経験。21歳で工業薬品や業務用洗剤の販売会社に就職。30歳で洗剤メーカーに転職し、1年後の秋田で独立。 独学で掃除と洗剤作りを学び、秋田からパソコン1つで情報発信を始め、自分の名前をつけた代表作「茂木和哉」を大ヒットさせる。現在ではシリーズ展開させ全国のお店に並ぶまでに。 汚れ落とし人生で得たノウハウを惜しみなく伝えるYouTubeチャンネル「茂木流掃除講座」は、チャンネル登録数30万を超える。
記事URLをコピーしました